ゆたかとエグモント

デンマーク エグモント教員片岡豊によるWEB日記
2008/03
27

パーソナルアシスタント制度の改正



世界的に先駆けて立法化された重度障害者のパーソナルアシスタント(俗に言うオーフス制度)制度が、半年後には改正されることになった。改正後は、隣国のノルウェーやスウェーデンと同じように、より多くの障害者が制度を利用できるようになることが見込まれている。
パーソナルアシスタント制度という障害者の自立支援制度は、大まかに英米型の「現金払い」タイプと、北欧型の「公的保障」タイプに分けることができるのではと思う。パーソナルアシスタントの制度は、アメリカとデンマークでそれぞれ、ほぼ同じ頃に現れた。アメリカではバークレーを中心に発展してきたが、公的保障がなく、財源の確保が不安定な点が特徴であり、そして欠点でもある。イギリスは、社会保障が整備され、当事者へ公的な現金支給があっても、パーソナルアシスタントの制度は、家族やボランティアに頼ったりすることが多いようだ。
北欧諸国では、英米とは別な展開を見せてきた。まずデンマークでは、1980年代に「オーフス制度」として展開されてきた制度は、重度身障者が施設を出て自立生活をするために、当事者がパーソナルアシスタントを雇用し、その給料は自治体・国に負担義務があるとされてきた。当事者が勤務体制などの労務管理のほかに、雇用契約に基づく経済的な経営管理の責任を果たすことが義務付けられているために、ごく一部の障害者のみにしか、この制度を利用することができなかった。
これに対し、スウェーデンでは90年代に施設解体のイデオロギーと財源的背景のもとに、障害者の施設ケアからパーソナルアシスタント制度へと展開された。以降、パーソナルアシスタントの派遣事業が、市町村のみならず、個人、民間企業、当事者団体が行うことが可能となり、民営化が取り入れられた。もっとも民営化といっても、財源はこれまで通り公的部門にあり、パーソナルアシスタントの派遣事業の委託という形をとっている。同時にパーソナルアシスタントの労務管理はあくまでも当事者にあるとされている。この経営者としての経済的管理と、雇用者の勤務体制管理の切り離しにより、スウェーデンの場合は、パーソナルアシスタント制度は、身障者のみならず、知的障害者、精神障害者など幅広く適用されることができるようになっている。
ノルウェーはさらに数年遅れてパーソナルアシスタント制度が導入されたが、ここでは当事者の協同組合がパーソナルアシスタントの派遣事業をほぼ独占しており、経営管理から人材養成プログラムまで手広く事業を請け負っている。
このように、パーソナルアシスタント制度については、北欧3国だけでもだいぶ、事情が異なっており、それぞれの長短を明確にするためには、より突っ込んだ調査・研究が必要だと思われる。
 デンマークのパーソナルアシスタント制度は、世界的に先駆けて展開され、長い間、他の国の当事者に大きな励ましとインスピレーションを与えてきたが、社会の変遷に伴って障害者の自立生活支援のニーズにも変化がでてきたことも確かだろう。この新しいニーズに応じて、デンマークにおける障害者の自立支援制度が今後、どのように展開していくのか、大いに期待されるところである。
最後に補足を。半年後の改正後には、これまでの用語であるユーザーが廃止され、Borger (市民)と呼ばれるようになるそうだ。まあ、確かに市民にはかわりはないのだろうけれど、なんとなくややっこしいなっていう感じがする。

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