ゆたかとエグモント
デンマーク エグモント教員片岡豊によるWEB日記
2011/05
05
モーテン君とコンタクト教員の課題
モーテン君は22才。CP(脳性まひ)に類似した重度障害があり、四肢麻痺で、電動車椅子を利用している。コミュニケーション障害のために、ゆっくりしか発語できない。学習能力は、読み書きができず、数字もやっと1から12までいえる程度。
このモーテン君がエグモンで3年間の「青年教育」を受け始めて2年たった。そして今年の12月で卒業すると、親元には戻らずに、別の地域で自立生活することを希望している。
モーテン君は障害者年金を受けているので、生活するのに経済的には問題はないが、ケアの面で多くの支援が必要だ。
エグモントにいる間は、週111時間分のケアニーズが認められており、3名のパーソナルアシスタントを雇用してケア体制を組んでいる。その人件費は、モーテン君の出身自治体が支給している。日本円にして、一人月約30万円ほど、合計月90万円程度のケア経費である。
このモーテン君が、学校を卒業して、本人の希望の通り親元から離れて生活するには、現在のところ、大きく分けて2つの選択肢がある。
一つは、一般にいううグループホーム。数人の若者が共同生活をするグループホームは在宅の形態に近いとはいえ、制度的には小規模な入居施設の類に入る。ケアスタッフは当事者に雇用されているパーソナルアシスタントではなく、グループホーム=施設に配置されている自治体のケアスタッフになるからだ。
他の一つは、パーソナルアシスタント制度を利用して、地域のアパートで一人生活することだ。モーテン君の希望は、後者のほう。つまり、パーソナルアシスタント制度を使ってアパートで一人生活をすること。
しかし、果たしてモーテン君は、パーソナルアシスタント制度をつかって地域で一人、自立生活をすることが可能なのだろうか?スウェーデンやノルウェーであれば、たぶん、可能だろう。スウェーデンやノルウェーでは、モーテン君に似た障害者もパーソナルアシスタント制度つかって地域で自立生活ができるような仕組みになっている。
デンマークではどうだろう。まず無理、というのが、デンマークのパーソナルアシスタント制度の「専門家」で同僚でもあるローネや、ミカエルの判断だ。その理由は、モーテン君は自分でパーソナルアシスタントの雇用、解雇、勤務表作成、欠勤の対応など、雇用主としての多様な人事管理業務ができないだろうという評価だからだ。
それでは、なぜスウェーデンやノルウェーでできて、デンマークではできないのか?その説明の一部は、以前に書いた記事で述べているし、とても複雑な問題を含んでいるので、ここではとりあげないが、ただ、いえることは、モーテン君がエグモントを卒業した後、本人の希望に添って自立生活をすることが、とても難しいということだ。
モーテン君は、エグモントの授業の一環として、現在、いろいろなアクティビティセンターやグループホームなどを見学して回っているが、12月末までには、卒業後の生活の場を見つける支援をしなければならない。これはコンタクト教員に課された大きな課題の一つだ。
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![写真[0]](http://sns.egmont.jp/img.php?filename=t_529_2_1189930850.jpg&w=180&h=180)